代表幹事 森岡孝二
大変な時代に大変な役を引き受けたものです。旧社会主義圏における市場経済への移行,民族紛争の噴出,国際的な金融危機の続発,日本の不況の長期化と失業問題の深刻化,米国における景気のバブル的な過熱,地球的規模での環境問題の深刻化--これらのいずれをとっても世界はいま大転換ともいえる変化のなかにあります。こういう状況を前にして,本会は,マルクス経済学に限らない多様なアプローチから経済学の基礎理論を広く討究してきた伝統ある学会として,十分に存在理由を示し得ているでしょうか。
最近10年間余りの共通論題を見ますと,89年「労働価値説の現代的意義」,90年「資本主義と社会主義」,91年「市場と計画」,92年「日本資本主義の現代的特質」,93年「戦後世界システムの転換」,94年「90年代不況の性格」,95年「現代資本主義分析の理論と方法」「戦後50年の経済と社会」,96年「アジア工業化と世界資本主義」,97年「経済学のフロンティア」,98年「現代経済と金融危機」,そして今年が「90年代資本主義の危機と恐慌論」と,経済学の総合学会にふさわしく,実に広範なテーマを多角的に取り上げてきたことがわかります。このことは本会が時代の提起する課題に果敢に挑戦してきたことを示しています。しかし,「経済学の基礎理論の研究」という本会の目的に照らすなら,わたしたちの理論活動に立ち遅れがあることは否めません。会員の一層活発な研究と討論が求められている所以です。
本会は1959年に設立されました。それから40年,本会は1000名規模の大学会となるまでに発展してきました。しかし,最近では,会員のなかで高齢で退会される方が増えてきた割には,若手研究者の入会が伸びず,このまま手をこまねいていては組織が衰微していくことは避けられない状況にあります。一般に学会が会員にとって魅力のある組織であるには,研究発表の場である大会が充実している,部会研究会が活発に開かれている,機関誌に高水準の投稿論文が多数掲載されている,などの条件が満たされていなければなりません。この点でわたしは,なによりもまず,本会の学会としての基本的活動を重視していきたい考えています。
そのうえで痛感されるのは,本会の国際学術交流が時代の流れに十分に対応できていないことです。近隣諸国で政治経済学の新しい流れが起きている状況に照らしても,わたしたちと共通の関心をもつ海外の経済学者と討論し交流する場をもっと積極的につくっていく必要があります。
最後に,会員のみなさんのご理解とご協力を得て,経済学の諸分野の広範な研究者,なかでも経済学の基礎理論を広げ深めることに関心をもっている若い研究者に呼びかけて,新しい会員を一人でも多く迎え入れてまいりたいと思います。
日時 1999年3月6日(土)14:00~
場所 立教大学7号館7301教室
出席者 21名
報告者 前畑雪彦(桜美林大学)
論題 不換制の貨幣理論―価値尺度と流通手段・紙幣流通法則
コメンテーター 久留間健(立教大学名誉教授)
司会 川鍋正敏(立教大学名誉教授)
[報告要旨]
まず報告の主題に対する副題の意味を説明する。主題に不換制の貨幣理論とある。このように一般的に言う場合,不換制下の第3規定の貨幣(貨幣蓄蔵・支払手段・世界貨幣)の問題も入る。しかし本報告ではここに立ち入らない。とりあげるのは主題を扱う際に,基本になると考えられる第1規定と第2規定の貨幣である。そして黒丸を介して紙幣流通法則と並記したのは,次のような私の理解にもとづく。この法則は,流通手段論で説明されているところから,普通,これに価値尺度は含まれていないと解釈されてきた。そうではない。この法則は,第1規定と第2規定とを独自の継起的連関において含んでおり,価値尺度と流通手段との両規定から構成されている。つまり副題の意味は,不換制下の現実の貨幣問題を,マルクスの立場から解明する場合,まず立脚すべき理論は紙幣流通法則だということである。
不換制の貨幣理論という場合,さしあたり次に述べる相関連する三つの現実問題に答える理論でなければならない。第1。眼前に与えられている商品と紙幣との間に存在する関係を,どのようなものとして,分析的に認識するか。商品と金貨幣との間に存在する関係と比較して,何が同一で何が変わっているか。同一面と非同一面とを統一的に把握すること(市中銀行のいわゆる預金通貨は中央銀行のみが発行しうる不換紙幣の支払約束であり,この意味での信用貨幣と考えられる。そして不換紙幣そのものの貨幣としての性格は,この紙幣が商品と交換に流通することを根拠として与えられている。それ故,この紙券の貨幣性質自体が,流通の諸契機としての商品と紙幣との関係性においてまずもって解明されなければならない)。第2。上記の解明を通じて,兌換制下の物価の上下波動と不換制下の物価の持続的累積的騰貴との対照的価格変動を,一貫した理論で,統一的に説明する貨幣理論を提出すること。第3。不換制を,資本主義の危機に対する最終的装備として,貨幣関係を媒介契機とする経済過程への国家介入機構の内容において,独自の生産関係として資本主義的生産様式に位置づけること。不況対策として取り上げられた調整インフレ論や日銀の国債引受問題は,正に,不換制下に独自の問題であり,危機の最も鋭い表明であると同時に,これへの究極の対応である。
本日の報告は,上記の三課題の内,第1と第2であり,第3については若干の問題提起にとどまる。第1の問題解明(これはおのずと第2へとつながる)を,1)商品と金地金 2)商品と金鋳貨 3)商品と紙幣 の順序で,それぞれの関係の個有の性格と,三者に共通の性格とを明らかにすることによって,行った。
結論は次の通りである。三つの場合の共通点。左辺の商品はすべて価格(観念的貨幣)を持ち,この価格が,商品を右辺の実在的貨幣(金地金・金鋳貨・紙幣)に関係させている。 商品価格=実在的貨幣 すなわち「諸商品の交換過程の現実の運動形態」(『資本論』第1巻,大月版,139ページ)は,いずれの場合においても,「その基本構造を維持する」(『経済学批判』国民文庫版,201ページ)。 商品価格=紙幣 に独自な点。貨幣名目を持つにすぎない仮象の金と,これと同一名目を持つだけの紙幣との「観念的な数的関係」の純粋な存在と,国家の「機械的行為」の制度化によって第2規定における紙幣の代表金量確定が第1規定における貨幣名の金量決定へと連動する反作用の全面的展開。以上を更に,参考文献にかかげた拙論(「紙幣流通の独自な法則について―不換制の貨幣理論の形成のために―」『立教経済学研究』第51巻第4号,1998年3月)で提起した諸論点に基づいて,詳論した。
[コメントと討論]
紙幅の関係で具体的紹介は割愛するが,久留間健氏からは,私の報告に内在するものではなかったが,貴重なコメントをいただいた。また討論では労働貨幣説や数量説の主張もみられた。
(前畑雪彦・記)
日時:1998年7月11日(土)午後1~6時
場所:中京大学会議棟中会議室
報告者1:由利宗之氏(中京大学)
「金融システム危機の増幅過程―政策的側面を軸として」
報告は,「金融システムの全般的弱体化」をもたらした要因を,大蔵省を中心とする金融監督当局の1990年代の一連の政策的対応の中に求めたものである。
「バブル経済」の崩壊後,土地(株式)の価格が,ほぼ一貫して下落。その際,大蔵省の場合,住専への金利減免,兵庫銀行・日本信託などの救済にみられるように,「関係」大手行に,法的責任を越えた延命コストを押しつけるという「奉加帳方式」などを要請。結局,延命策は,大手行の一層の負担増加につながった。そして,大蔵省は「大きすぎて潰せない」という政策スタンスを捨てきれなかった。
今後,大蔵省と金融監督庁が,今年度から施行させた早期是正措置制度の趣旨を厳格に踏まえ,実質破綻行の整理を「最小費用処分の原則」(経営者・株主等の責任を厳格に問い,公的資金負担を最小に押さえる―米国では最重要とされている)に則って推し進めるかどうか,注視すべきであろう。
報告者2:沼尻晃伸氏(静岡大学)
「戦時期日本の工場用地造成と土地利用計画―土地商品の統制とその実態」
報告は,日中戦争期-アジア太平洋戦争期の日本に建設された軍需工場に必要な土地商品の実態を,中央政府による統制との関連を踏まえて明らかにする。
日中戦争が開始した1930年代後半において,工場向け土地商品は,大都市近郊の地主が土地区画整理事業など,民間レベルでの土地造成が中心となって進んだ。これらの事業は,宅地造成による地価上昇に伴う地主などの利益を前提とした事業で,工場用地の需要そのものの増加と相俟って,1930年代後半に工業地の地価を急速に上昇させた。そして,1940年代に入ってからも工業地の地価上昇は続いた。結果的に,政策理念に反した農地転用を伴う軍需資本の土地買収が,軍部の強権性を伴って-外見的には市場を媒介とした契約によって-1940年代に入っても存続。
参加者:会員外も含めて約20名。
(塚本隆敏・記)
東海部会研究会(2)
日時:1999年1月23日(土)午後1~6降
場所:中京大学会議棟中会議室
報告者1:森 武麿氏(駒沢大学)
「小作問題研究の現状と謀選-坂井好郎著『地域産業構造の展開と小作訴訟』によせて」
報告は,坂井著の後編「地主制の展開と小作訴訟」を検討。後編の意義は二つあり,一つは「裁判所所蔵資料の分析による小作争議・農民運動研究は前人未踏の業績」である。もう一つは「地主制確立に対する法的保障として明治民法でなく民事訴訟法の意義を初めて実証的に分析し明らかにした」ことなどと評価。
各章ごとの論点を整理され,それに対置して私見も展開された。各論点をあげれば,明治中期の小作紛争の評価,大正期小作争議との差異;中小地主地帯論;不在地主型村落=小作争議激発論批判;そして後退期農民運動の評価など。最後に,報告者は「明治から戦時期までの小作訴訟を通して近代農民運動・小作争議の全過程を見通した」ことを高く評価。
報告者2:和田 豊(岡山大学)
「重田澄男著『資本主義とはなにか』をめぐって」
報告は,重田著の意図と論点を詳細に紹介・分析。特に,「本書のテーマは長年の研究活動が収斂したもの(独占・構造的失業・戦後恐慌の形態変化といった現代資本主義における諸問題への取り組み→宇野弘蔵の三段階論と平田清明の市民社会論の検討→「資本主義とはなにか」)・マルクス,ヘーゲル,カール・レンナーに立脚(三つの拠りどころ) ・資本主義を歴史的的に位置づけるオールターナティプの現実的形態はいまだ確定し得ていない(ソ連型社会主義にその資格がないことは明らか)。
報告者の問題提起:a.資本主義の「具体的普遍」の具体化。b.資本主義の「具体的普遍」の論理。c.経済の情報化・ソフト化。d.賃金支払額と労務提供量の関係。e.資本主義における搾取の隠蔽。そして,f.資本主義の運命と社会主義の可能性。
参加者:会員外も含めて約15名。
(塚本隆敏・記)
昨年秋から同志社大学(大野氏)から神戸大学(中谷)に関西部会事務局が移った。第1回部会が2月13日神戸大学経済学部において行われた。テーマは日本経済に関わる二つの著作の検討で,出席者は約20名であった。
(1)「海野八尋『日本経済はどこへ行く:国民経済の解体か保全か』(花伝社,1997年)について」報告者:菊本義治(神戸商科大学)
本書は保守分裂・革新再編成という政治現象を経済学から説明しようとするものである。その内容の概要は次のようである。
さらに次の点が検討されるべきだろう。
(2)「吉富勝『日本経済の真実』(東洋経済新報社,1998年)報告者:中谷武(神戸大学)
本書は,日本経済低迷の原因と処方箋について,通説を批判し,著者自身の日本経済論を展開している。批判される通説はたとえば次のような見解である。1)80年代バブルは日銀の通貨供給の過剰に原因がある。2)97年後半の景気悪化は財政再建による国民負担増が原因だ。3)日本は高コストだから国際競争力を失い,空洞化しつつある。4)アジア通貨危機は経常収支危機から生じた。
本書は現代日本経済を,大企業の銀行離れ,その結果として多数の小企業への銀行融資の視点から捕らえている。銀行のモニター機能が十分に発揮されなくなっていること,「too big to fail 政策」ではなく「too big to close windows 政策」に転換すべきこと,アジア通貨危機は「経常収支危機」としてでなく「資本収支危機」の視点から捉えるなど,興味ある論点が提示されている。また議論は豊富なデータを用いて説得的である。しかし次のような問題がある。
(中谷武・記)
1998年度の西南部会は,7月11日土曜日,13時30分より,熊本学園大学(世話人・嶌啓,永井博,山内良一,中野元会員)のお世話により,同大学本館第二会議室において,開催された。約30人の参加で下記の3本の報告・討議が行われた。会務報告の終了後,17時30分より大学内「グリル」で懇親会が催され,理事長・北古賀勝幸会員の乾杯を皮切りに置酒歓談の時を過ごした。
1)韓国の経済成長レジームと経済危機 崔東術(九州産業大学非常勤講師)司会・嵯峨一郎(熊本学園大学)
2)欧州経済通貨統合における社会経済的調整の意義 花田昌宣(熊本学園大学社会福祉学部)司会・高橋伊一郎(元・九州大学)
3)資本回転論の意義 亀崎澄夫(広島修道大学経済科学部)司会・逢坂充(九州産業大学)
崔報告は,韓国の経済成長レジームの80年代後半における変容の検討を通して,97年末以降の現経済危機の根本原因を探求した。
韓国の高度成長を支えた輸出主導型成長レジームの基本構図は,外延的蓄積と低い労働コストとの結合であった。これを通じて価格競争力を維持し輸出を拡大したのである。しかし,このレジームは,86年民主化宣言以降の賃金高騰とともに崩れ始める。レジームの基本的構図が外延的成長と高労働コストとの結合(高費用構造)に変わった。外延的蓄積と輸出に基づく韓国の経済成長レジームが高いコストと結合した場合,経済の不安定性は高まる。にもかかわらず,80年代後半には高成長とともに,初の貿易黒字を達成した。が,これは「3低」(ドル安・油価安・金利安)と「円高」の国際経済環境により,一時的に価格競争力が保たれたからである。この貿易黒字は,韓国の経済成長レジームの崩壊の表面化を一時的に封じ,外延的蓄積を加速化した。その結果が,一層の労働力不足とコスト高騰に他ならない。この意味で,韓国の現経済危機は,97年末金融危機から表面化したとは言え,基本的には86年以降の経済成長レジームの変容が表面化したものだと考えられる。
花田報告は,現在進行している欧州通貨統合の持つ意味と問題点を検討した。
70年代から続く経済成長の鈍化と不況の継続,それによる大量失業と社会保障財政の破綻,この欧州経済の根本問題の克服策として提起されたのが,欧州経済通貨同盟,つまり欧州単一通貨ユーロと欧州中央銀行の創出である。しかし,この制度への各国の参加・維持条件には,市場リベラリズムが貫徹しており,財政赤字や通貨切下げの忌避,利子率引上げなど緊縮政策の推進で特色づけられる。単一通貨制度が発足するにしろ,各国間の競争が賃労働関係の劣悪化を中心として進められる現状では,経済問題の解決策になり得ないだけでなく,経済混乱と不況持続の促進要因として懸念される面が大きい。有り得べき選択肢は,加盟各国の協調であり,ゼロサムゲ-ムに訣別してwin-winゲームを実現しうる協調体制の構築であるが,短期的・中期的には,かなり悲観的にならざるを得ない。(花田報告の詳細は,「欧州経済の協調レジームへの岐路」熊本学園大学『海外事情研究』25巻2号所収,に求め得る)。
亀崎報告は,『資本論』第二部第二篇で展開される「資本の回転」論の徹底的究明を志した氏の著作『資本回転論』(1996年,昭和堂)の基本論点を再提示する形で行われた。
この報告の特色は,資本回転と利潤率の密接な関連に注目して,資本回転論の意義を利潤率の意味の深化として総括する所にある。利潤率は,費用利潤率×投下資本の総回転数として,あるいは剰余価値率×可変資本の回転数×投下可変資本の比率として定式化される。この利潤率に反映される資本回転の質的規定や量的指標を基礎に資本家の活動は遂行される。その過程は,直接には高い利潤率や超過利潤の取得を動機とするが,結果的に労働の生産力の上昇や物質代謝過程の効率化をもたらす面を有する。その意味で利潤率は,資本主義社会の『生動発展の原理』(渡辺昭)を表現するものと位置づけられる。
(福留久大・記)
1998年度の会員総会は,10月3日、17時15分~18時に,札幌学院大学d202教室で開かれた。
(1)議長選出
幹事会からの推薦により北原勇会員および柴垣和夫会員を議長に選出した。
(2)会務報告
森岡孝二代表幹事から,1)幹事会の活動,2)ニューズレターの発行(99年度より年1回),3)第46回大会,4)会員の動向,5)第47回大会会場校(法政大学)について,それぞれ報告がなされ,了承された。
(3)『年報』編集委員会報告
福留久大第35集編集委員長より第35集の作成結果について報告がなされた。また,一井昭第36集編集委員長より第36集の編集について報告がなされた。
(4)部会活動報告
関東部会については森恒夫会員より,西南部会については福留久大会員より,それぞれ報告があった(詳細は報告のなかった関西・東海両部会とあわせ「部会報告」を参照)。
(5)1997年度決算報告
鶴田満彦会員(前代表幹事)より,標記についての説明があり,近藤禎夫・山口孝両会計監事の「適正に行われている」との監査報告を含めて,了承された。
(6)1998年度決算予想および1999年度予算案
長谷川伸幹事より,標記についての説明と提案があり,過年度の「前年度繰越金」の計上にケアレスミスがあった点を訂正することを含め,了承された。
(7)日本学術会議報告(後出参照)
(1)『年報』第35集は1998年10月1日発行された。発行部数1460部,うち会員配布分および保管分は1060部,青木書店買い上げ分は400部(定価3000円,消費税を除く)。
(2)『年報』第36集の編集委員は編集体制を強化するために1名増員し,次の7名が選任された(敬称略)。
一井 昭(編集委員長),前畑憲子(事務局担当),唐渡興宣,河村哲二,北野正一,関根猪一郎,増田寿男
(3)『年報』第36集からの改革について,重要性に照らして,『年報』第35集・会務報告の「幹事会」の説明を再録する。
1998年度幹事会は7回開催された。
(1)幹事会の新体制について
1997年9月に行われた役員選挙で選出された幹事30名と,本部事務局担当および大会担当の補充幹事の各1名により,幹事会の新体制を決定した(「1998年度経済理論学会役員」参照)。
(2)幹事アンケートの実施
47回大会の共通論題についての意見集約を兼ねて,本学会の当面する課題と活動について幹事全員に対して,1)共通論題,2)大会の持ち方,3)年報の編集・発行,4)入会案内(栞)の作成,5)会費の値上げ,6)記念行事,7)その他,7項目についてアンケートを実施した。結果をもとにした討論は98年度中には共通論題以外は時間的制約でほとんど出来なかった。99年度に引き続き議論し,幹事会で合意をみた事項から実施し,重要事項については会員総会にはかる。
(3)47回大会について
1999年度第47回大会は,10月16日(土),17日(日)の両日,法政大学で開催することに決定した。日本資本主義は,現在,金融危機を克服できず,なお戦後最悪の不況のなかにある。 昨年の46回大会では,「現代経済と金融危機--政治経済学に問いかけるもの」を共通論題に掲げた。本年の47回大会では,日本資本主義の現状を踏まえ,「1990年代資本主義の危機と恐慌論」を共通論題に設定する。46回大会の報告と討論を深め広げるために,今大会の報告では,1990年代資本主義の危機のグローバルな連関を現状分析するにとどまらず,可能な限り今日の危機が景気循環論を含む恐慌論にいかなる理論的課題を投げかけているか,また,今日の危機の分析のためにマルクスその他の恐慌論から何を学ぶことができるかを明らかにすることが望ましいということになった。分科会の設定の方式については,書評分科会を含め基本的に昨年度を踏襲することにした。
(4)会員名簿の発行
刊行が遅れていた会員名簿を大会にまでに発行した。
幹事(左肩は担当を示す)
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有井行夫 |
(駒沢大学) |
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一井昭 |
(中央大学) |
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今宮謙二 |
(中央大学) |
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井村喜代子 |
(慶応大学名誉教授) |
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名簿会費担当 |
海野八尋 |
(金沢大学) |
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大石雄爾 |
(駒沢大学) |
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小幡道昭 |
(東京大学) |
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唐渡興宣 |
(北海道大学) |
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河村哲二 |
(武蔵大学) |
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角田修一 |
(立命館大学) |
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菊本義治 |
(神戸商科大学) |
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北原勇 |
(慶応大学名誉教授) |
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小西一雄 |
(立教大学) |
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重田澄男 |
(岐阜経済大学) |
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柴垣和夫 |
(武蔵大学) |
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国際交流担当 |
杉浦克己 |
(帝京大学) |
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関根猪一郎 |
(高知短期大学) |
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中川弘 |
(福島大学) |
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中谷武 |
(神戸大学) |
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長島誠一 |
(東京経済大学) |
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平井規之 |
(一橋大学) |
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福留久大 |
(九州大学) |
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前畑憲子 |
(立教大学) |
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馬渡尚憲 |
(東北大学) |
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増田寿男 |
(法政大学) |
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代表幹事 |
森岡孝二 |
(関西大学) |
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八木紀一部 |
(京都大学) |
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山口重克 |
(国士舘大学) |
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山田鋭夫 |
(名古屋大学) |
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米田康彦 |
(中央大学) |
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本部事務局担当 |
長谷川伸 |
(関西大学) |
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第46回大会担当 |
宮下柾次 |
(札幌学院大学) |
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第47回大会担当 |
大谷禎之介 |
(法政大学) |
会計監事 近藤禎夫(駒沢大学) 山口孝(明治大学)
本学会推薦の日本学術会議会員 鶴田満彦(中央大学)
本学会推薦の日本学術会議経済理論研究連絡委員会委員 山田鋭夫(名古屋大学)
本学会推薦の日本経済学会連合評評議委員 杉浦克己(帝京大学) 小幡道昭(東京大学)
共通論題「1990年代資本主義の危機と恐慌論」
会場:法政大学多摩キャンパス経済学部棟
日程:1999年10月15日(土)・16日(日)
1997年度収支決算報告書及び1999年度予算案が幹事会で承認された後,第46回大会会員総会に諮られ,これらが全て承認された。なお,1997年度収支決算報告関係書類は山口孝,近藤禎夫の両会計監事の会計監査を受け,「収支決算の状況を適正に示し,会計帳簿は現金の収支を正確に記録・計算している」との会計監査報告書を得ている。
1997年度決算・1999年度予算 〔本web版では省略〕
1998年度における新入会者35名,退会者22名,長期滞納に伴う除籍者(自然退会)24名,物故会員4名で,99年3月の会員総数は976名である。物故会員は佐藤智三,古田巌,宮崎義一,渡辺 寛の4会員である。ここに謹んでご冥福をお祈りします。
1. 第129回総会(1998年10月28日~10月29日)
(1) 俯瞰型研究プロジェクトの推進と総合的な科学技術政策の樹立に向けて
現在の行政改革の動向及び21世紀に向けて予想される環境問題・エネルギー問題等の深刻性を考慮し,吉川会長より,俯瞰的・総合的な視点からこれらの問題への科学技術の適用をはかることを政府に要請する意思表示をしたいとの提案があり,審議の結果,これを承認した。これに関する会長特別談話は,標記のタイトルで1999年1月20日に発表された。
(2) 学術研究団体の登録に関する規則の一部改正について
日本学術会議法第18条第4項の規定による学術団体の登録の抹消を行うにあたり,抹消の通知・弁明の聴取等を行うように標記規制の改正を行った。
2. 経済理論研究連絡委員会主催のシンポジウムの開催について(1999年3月19日)
標記シンポジウムを「経済学系大学院の現状と問題点」というテーマで開催した。プログラムの概要は次の通り。開会の挨拶及び司会:鶴田満彦(中央大学),パネリスト:藤原(奥野)正寛(東京大学),佐々木公明(東北大学),大山道廣(慶応義塾大学),長砂 實(関西大学),宮川 彰(東京都立大学)。なお,このシンポジウムの記録を報告書にまとめ,問題解決の一助とすることにした。
3. 第130回総会(1999年4月20日~4月21日)
(1) 地球圏-生物圏国際共同研究計画書(igbp)の促進について(勧告)
地球環境変動を解明するための複合・学際的研究として,日本学術会議の国際母体でもある国際科学会議(icsu)が1990年から開始している標記研究について,2000年以後もわが国が間断なく貢献できるように政府に予算措置等に関して勧告を行うことを決定した。
(2)「教育」と「地球環境」両問題の一体的解決について(報告)
教育・環境問題特別委員会より,標記のテーマで,勧告文および対外報告書を作成する方向で準備中であるとの報告があった。
(3) 学術研究団体登録拒否決定無効確認請求事件の判決について(報告)
システム監査学会が学術会議を相手どって提訴している標記の事件について,1999年3月東京地裁において,訴えを却下するとの判決があったことが報告された。
(4) 日本学術会議の自己改革について(自由討論)
吉川会長の私的諮問機関である未来構想懇談会がまとめた「日本学術会議改革案」をめぐって,自由討論が行われた。
(5) 第3部主催のシンポジウムの開催について
第3部の地方部会を福岡市で開催するにあたって,1999年7月2日に「都市の現状と望ましい未来像」というテーマでシンポジウムを開催することとした。パネリストは,河野博忠,安部真也,田中啓一,藤井与太郎,菊池敏夫の各会員と樗木武九州大学教授。
4. 経済理論研究連絡委員会(第17期・第5回,1999年6月7日)
(1) 科学研究費審査委員候補者推薦について
第4常置委員会より科学研究費補助体制の大部分の日本学術振興会への移管,審査委員のほぼ倍増といった変更に加えて,審査委員候補を研究連絡委員会をとおして推薦する体制に切り替えるとの報告があった。分科細目の「経済理論」の審査委員の定数は,第1段6名,第2段2名(任期はいずれも2年)と倍増し,従来と同じく定数の2倍の候補者を推薦することとなっている。
協議の結果,第1段については定数6を,日本経済学会2,経済理論学会1,経済学史学会1に恒常的に配分し,残る2は,その都度,経済理論研連に参加している全学会を対象に協議して配分することとした。第2段については,定数2を,日本経済学会1,経済理論学会0.5,経済史学会0.5に恒常配分することとした。(経済理論学会と経済学史学会は,2年ずつ交替で第2審査委員候補者を出す。)
(2)200年度代表派遣国際会議および派遣候補者の推薦について
第17期に入ってからの実績が,98年度,日本経済学会及び経済理論学会,99年度,経済学史学会及びマルクス・エンゲルス研究者の会だったので,2000年度は1)社会思想史学会,2)比較経済体制学会,3)応用地域学会の順序で推薦することとした。
(鶴田 満彦・記)
高齢化社会論にとりくんで
林 直道(大阪経済法科大学)
高齢化社会の問題は21世紀日本経済にとって最も重要なテーマの1つであろう。私がこのテーマにかかわったのは1976年,今から23年前であった。そのきっかけは日本の高度経済成長・恐慌なき発展の原因の探求であった。1950年代・60年代,そして70年代半ばまで日本経済は不況らしい不況を見ることなく超ロングランの高度成長を続けた。その理由を合理的に説明しないことには,恐慌論専攻の人間として格好がつかなかった。技術革新とか,農地改革とか,石油エネルギーへの転換とか,臨海工業立地とか,寡占競争体制とか,いろいろの要因を数え上げたが,それ以外に何かとんでもない型破りの要因がひそんでいたのではないかと模索し続けた。
私は戦後ずっと堺のとある裏長屋に棲んでいたが,向い合わせ16軒,共同水道2つにお地蔵さん1つというこの狭い路地は物すごい子沢山でほとんど終日ギャーツと叫ぶ子供の声で満ちていた。ある事情でここから引っ越した私は,数年後,ここを訪れて驚いた。ひっそり静かで,家々は綺麗になり,聞けば各戸に自家水道を引きこみ,2,3軒おきくらいに電話ももち,中にはモータープールに自家用車を預けてある家もある。子供は次々と新制中学を出て近くの中小企業で働いているという。たとえ低賃金でも一家で3人,4人と働けば,暮らしは楽になったとのこと。この「人口年齢構造の大激変」こそ,日本経済の縮図ではないか!とひらめくものがあった。
過去1世紀ちかく平均4,5人の子供を産んできた多産系日本社会が,ベビーブーム終了後,10年足らずの間に子供2人の少産社会に劇的に変化した。年少人口の比率がアッという間に半減し,老年人口はまだ多くない。多産社会時代に生まれた子供が次々に成人してくるので「生産年齢人口」=経済活動年齢人口が世界史上空前の70%へと大膨張をとげた。それによる潤沢な労働力の供給,消費市場の爆発的継続的拡大,財政の社会保障負担の軽減効果,これこそ高度成長の究極の秘密ではないだろうか,と考えたのである。
この分析からは,この異常膨張した働き盛り層が次々高齢化しリタイアする数十年後,日本が超高齢国に転生するだろうと見通すのは容易であった。やがて日本中,おじいさん,おばあさんが充満するぞ,ときく人をおどろかせて私は内心得意であった。ところが日本に超高齢社会がやってくるとの認識は徐々にひろまり,やがて常識となった。私の理論の後半部分は色褪せた。
政府は超高齢時代の巨大な社会保障費の負担でこのままでは日本経済はパンクしかねないと強調し,まず新財源としての福祉目的税(消費税)の導入,ついで社会保障の切り下げにとりくみ始めた。大急ぎでテーマの重点移動が必要となった。果たして本当に高齢化社会は経済的に過重負担をもたらすのか。社会保障切り下げが止むをえないことかどうか,科学的に検討しなければならない。--と焦ったけれども私はこの転換にかなりの年月を空費し,なんとか1つの手がかりをつかめたのはようやく1987年であった。それ以降,いろんな角度,いろんな論拠から「高齢化社会は恐れるに足らず」の論文をいくつも書いた。そして,最近「高齢化社会は十分に支えられる」ことを計数的に確かめることができたのではないかと思っている。雑誌『経済』1998年10月号の「高齢化社会の基本問題」がそれである。ただこの論文には医療の高度化に伴う医療費の増大,医療給付の増大を入れていないなどの不備があり,そうした不備を訂正して,「高齢化社会と日本経済」と題して再論を提出した(『経済』次号予定)。政府見通しの実質国民所得成長率のもとでも,60-64歳年金カット,医療保険自己負担20%への引き上げなどの社会保障切り下げなしに,大膨張する社会保障給付を満額支出して,なお国民生活をかなりのパーセント引き上げることが可能だということを計数的に示そうと試みた。会員諸兄姉のご批判を賜りたいと切望している。
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補助対象 |
申請先 |
時期 |
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国際会議の開催補助 |
文部省国際学術局 |
12月 |
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シンポジウムの開催補助 |
文部省国際学術局 |
12月 |
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外国人学者招聘滞日補助 |
日本経済学会連合 |
2月・6月 |
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国際会議派遣補助 |
日本経済学会連合 |
2月・6月 |
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学会会合費補助 |
日本経済学会連合 |
2月・6月 |
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シンポジウムの開催補助 |
日本学術協力財団 |
6月 |
『年報』論文・書評投稿規定
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7 投稿者は改めて,採用された論文・書評の印刷用原稿を,ワープロ印刷およびフロッピーディスク(Windows formatのMS-DOS.txt形式)で提出する。
昨年の総会でこれまで『年報』に収録してきた部会報告や会務報告などを『年報』から分離し,年1回の「ニューズレター」として発行することが承認されました。このたびようやく第1号をお送りします。今号は編集に工夫をこらす余裕もありませんでしたが,次号からは少しでも読みやすくするために,会員の研究への思いを1000字程度にまとめてご寄稿下さい。また,情報価値を高めるために会員の近著の紹介(著者,書名,出版社,出版年)を行います。取り上げる文献は書評の対象物に準じます。大会の報告希望調査の際にご記入いただこうと考えています(事務局)。