さまざまな分野で、資本主義の歴史的使命の終焉が、人類史的スケールで語られています。そして「ポスト資本主義」なる構想がポジティヴに打ち出されてきています。経済理論学会も、新たな思想、経済理論、そして社会運動に着目し、人類と地球の新しい関係を構想すべく、「オルタナティヴ社会」分科会を立ち上げました。
2018年12月、設立にむけた集まりをもち、「オルタナティヴ社会」構想にふさわしく、アプローチの方法や研究スタイルなど、多様性を尊重していくことを確認しました。
その後、2019年5月、第1回研究会を開催し、スタートを切りました。
学会大会前日の10月18日には第2回研究会を行います。
今後も、研究会を5月と大会前日の年2回のペースで開催するとともに、ネットを通じて、国際学会や社会運動の動きなどの情報交換や意見交換を行っていきます。
経済理論学会の会員だけではなく、広く社会運動に関わっている方や経済学以外の研究者など、非会員の参加を呼びかけていきたいと考えています。
2019年10月
分科会責任者:後藤宣代(福島県立医科大学・非)
経済理論学会 問題別分科会「オルタナティヴ社会」
原発関連ワーキンググループ 設立趣意書
2026年9月23日
発起人・責任者:田中史郎会員,佐藤公俊会員
1.原発関連ワーキンググループ設立趣意
本ワーキンググループ(以下、本WG)の設立を提案するに至った背景には、3.11福島原発事故の反省と、被害者・避難者の方々の窮状があります。また、「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」、「原発賠償関西訴訟」、「311子ども甲状腺がん裁判」など、被害者・避難者の方々が起こしている訴訟に対する「確認・周知・支援」が必要であることも重要な要因です。
具体的には、事故当時の避難の不手際に現れたように、事前に対処すべき放射能汚染の測定システムや避難誘導の体制など、事故対策の不備を挙げなければなりません。さらに、被害地の除染の不十分さも挙げられます。
そして、被害者・避難者の故郷・家族・コミュニティの喪失、補償・賠償・原状回復の不十分さ、検診・医療体制の不備、まだらな復興や見かけの復興による「被害の見えない化」、支援打ち切りによる棄民化なども深刻です。
こうした政府や行政、電力会社による対応の不備や諸問題を、多様な立場の方々との情報交換を行い、知見の共有を通じて正確に把握・調査し、議論を経て解決の方向性を見出していくことが喫緊の課題です。そのために本W Gを設立します。
2.本W Gの理念・目的
本WGは前述の喫緊の課題の解明に際して、森松亜希子氏らの提起する「被ばくからの自由」と「避難の権利」の保障、および「3.11福島原発事故の反省」を基本的立場とします。
そうした観点から、以下の点を重視し、主張します。
① 被ばくからの自由・被ばく拒否:非自発的な被ばくを避ける権利は、生命や健康を保障される基本的人権に基づくこと。被ばく拒否の権利の保障として、避難計画における被ばく放置の禁止と実効性の向上を主張します。
② 避難の権利・被ばく防護:避難の有無にかかわらず、放射能汚染から身を守る権利を有すること。避難の権利の保障として、原発事故被害者・避難者に対する避難・居住の権利保障、支援・救済およびふるさと環境回復の制度化を主張します。
③基本的人権:これらは全世界の人々に保障されるべき権利であり、福島地域限定の問題ではないことを確認します。
また、3.11福島原発事故の反省から、以下の方向性を主張します。
① 原発再稼働の禁止:しばしば、経年劣化などにより安全性が確保できない原発が対象と考えられますが、すべての原発は安全ではなく、再稼働の禁止対象です。また、使用済み核燃料の処理問題からも、これを主張します。
② 脱原子力社会、自然エネルギー社会への移行:すでに長期的には始まっていますが、この潮流を推進すべくエネルギーシフトを主張します。
よって、これらを確認するとともに主張し、エシカルな意思決定を有するオルタナティヴ社会の実現を目的とします。
3.本W Gの事業概要
上の事柄を実現すべく、以下の事業を行います。
すなわち、広義の原発関連問題に関心のある経済理論学会会員、被害者・避難者、および、こうした問題を調査・議論される方々(特に経済理論学会大会で報告された方々)に、問題別分科会「オルタナティヴ社会」への参加を呼びかけます。ついで、同分科会会員により本WGを結成し、問題や課題の調査・公表・議論を進めます。
具体的な活動として、必要に応じて視察・調査・研究等を行います。現地での活動は未定ですが、研究会は主に遠隔にて、年に複数回の開催を予定しています。
こうした活動を通じて、多様な立場からの「交流・情報交換・知見の共有」を重視し、エシカルなオルタナティヴ社会に向けた議論を推進します。
連絡先:①田中史郎会員 stanaka@mgu.ac.jp
②佐藤公俊会員 kimitoshisatoh@gmail.com
以上
経済理論学会 問題別分科会「オルタナティヴ社会」
ワーキンググループ「東アジア社会運動研究ネットワーク」のご案内
2026年1月1日
問題別分科会「オルタナティヴ社会」責任者 後藤宣代
当分科会は、2018年12月、「さまざまな分野で、資本主義の歴史的使命の終焉が、人類史的スケールで語られています。そして『ポスト資本主義』なる構想がポジティヴに打ち出されてきています。経済理論学会も、新たな思想、経済理論、そして社会運動に着目し、人類と地球の新しい関係を構想すべく、『オルタナティヴ社会』分科会を立ち上げ」たと設立趣意書で述べました。
21世紀に入ると、東アジアの社会運動は目覚ましいものがあります。そこから、どのような経済理論が構想されてくるのか、まずは東アジアの社会運動の研究と交流を進めるなかで、見極めていきたいものです。
20世紀をふり返ってみれば、1956年から57年、第一回アジア作家会議に出席するためにインドに滞在した堀田善衛は、著作『インドで考えたこと』(岩波新書、1957年)を次の言葉で締めくくっています。
「その歩みがのろかろうがなんだろうが、アジアは、生きたい、生きたい、と叫んでいるのだ。西欧は死にたくない、死にたくない、と云っている。」(210頁)
こうしたアジアでは、20世紀の終わりの1995年、アジアで初めて国連世界女性会議(北京会議)が開催されます(2025年は30周年の記念の年でした)。このアジアの胎動に松井やよりは、『女たちがつくるアジア』(岩波新書、1996年)なのだと変革主体を位置づけています。松井は、ながらく植民地支配とその後遺症に苦しんだアジアは、「停滞のアジアから成長のアジアへ」と世界史の表舞台に踊りだしたと述べています。
21世紀、アジアの若者、そして女性が牽引する社会運動は、新しい社会形成、オルタナティヴ社会への息吹を伝えてくれます。
そこで、2026年、問題別分科会「オルタナティヴ社会」のなかに、ワーキンググループ「東アジア社会運動研究ネットワーク」を立ち上げていくことといたします。
東アジアの社会運動が、欧州や南北アメリカ、アフリカ、そして東西・南アジアの運動と、どう関わり連帯していくのか、現地を訪問し、研究交流し、オルタナティヴ社会の構想を充実させていきたいものです。