経済理論学会
ラウトレッジ国際賞

経済学の領域における批判的な成果を国際的なレベルで顕彰するために、Routledge社と協力して英文書を対象にした図書賞(Book Prize)です。経済学の世界ではノーベル経済学賞が有名ですが、その選考・授賞は欧米のアカデミズム主流に偏ったものになっています。最近では日本でも新古典派的な経済学が「国際標準」であると語る経済学者が幅をきかしています。この国際賞は、そうした風潮に抗して、マルクス経済学、ポスト・ケインジアン経済学、その他すべての異端派経済学を含む経済学(ポリティカル・エコノミー)における成果を全世界に示すことによって、経済学の新しい発展の方向を切り開こうとするものです。

2023年度(第10回)経済理論学会ラウトレッジ国際賞選考結果

授賞者: John E. Roemer
授賞対象図書: A General Theory of Exploitation and Class. Harvard University Press, 1982.
関連図書: 

2022(第9回)受賞者なし

第11回(2024年度)経済理論学会ラウトレッジ国際賞について

代表幹事 後藤康夫

はじめに

2022年度幹事会は,ラウトレッジ社との国際賞契約(期間5年)を,2022年末に更新するにあたって,二つの課題(A:国際賞の意義と成果の確認点,B:選考方法や記念講演の改善点)について議論した結果,第7回幹事会(2023121日)において,以下の事項を確認しました。

したがいまして,第10回(2023年度)以後経済理論学会ラウトレッジ国際賞はこの実施要項の改正に基づいて行われることになります。

 I 国際賞契約更新にあたっての確認事項

[課題A:国際賞の意義と成果]

国際賞の目的(契約書でいえば3点:①ポリティカル・エコノミーの国際的な推進においてJSPEが積極的な役割を発揮する。② JSPE会員による研究成果の英語発表・出版の推奨。③主流派のノーベル賞に匹敵する賞を目指す)から期待される意義は大きいが,9回までの成果は未だ初期段階に留まる。契約更新にあたっては,実施要項の改善が求められる。

[課題B:選考方法や記念講演の改善点(実施要項の改正)]

S1 選考対象と賞の性格

現行の規定「国際賞は経済学(ポリティカル・エコノミー)における顕著な功績で過去四半世紀の期間に英文図書になった本に基づいて現存の経済学者に与えられる“lifetime achievement award” 」から,「過去四半世紀の期間」は削除し,他方,“lifetime achievement”は,奨励賞との性格の違いを表す必要から残す。公刊期間と年齢は不問とする。

S2 選考方法

① 国際賞推薦審査委員会の設置

これまでは,会員が一件推薦することができ,この推薦に基づき選考委員会が審査し決定してきたが,2022年度は推薦なしの事態となった。会員からの推薦なしの事態を防ぎ,選考委員の負担を軽減するため,新たに「国際賞推薦審査委員会」を設置する。

磯谷明徳,植村博恭,河村哲二,八木紀一郎(委員長),横川信治(五十音順)

*推薦権は引き続き会員にあり,推薦書を提出することができる。

② 選考委員会

提出された審査報告書をもとに,1名に絞り込む。

S3 受賞記念講演

年次大会(あるいは適当な機会)に,開催校と協議し,行う(オンラインも可)。

 II 新たな推薦依頼文

2014年にRoutledge社と協力して英文図書を対象にした図書賞を設けました。本国際賞は,マルクス経済学,ポスト・ケインジアン経済学,その他すべての非主流派経済学を含む経済学(ポリティカル・エコノミー)における成果を全世界に示すことによって,経済学の新しい発展の方向を切り開こうとするものです。国際賞は経済学(ポリティカル・エコノミー)における顕著な功績で英文図書になった本に基づいて現存の経済学者に与えられる“lifetimeachievement award”です。

特別会員(overseas academic advisers)を含む経済理論学会会員が,1件を推薦できます。推薦書はこちらから入手し,必要事項を記入して,jspe_rlprize_review@googlegroups.com にお送りください。郵送の場合は,下記の書式に従って推薦書を作成し,学会本部事務局までお送りください。

*締め切り:2024年5月6日(月)必着。